ダウンヒルアゴーゴースペシャルインタビューVol.1 内嶋亮(G-Cross HONDA) その1
3強とその他。現在日本のDHレースシーンを端的に表すとそうなることに異論を挟む人はほとんどいないだろう。何せ、過去3年間の全日本選手権及びジャパンシリーズ(J1,JS)、全20戦で、丸山弘起(Tech-In)が涙の初優勝を遂げたウイングヒルズ白鳥の2005年第4戦以外、全てのレースをこの3強が勝っているのである。説明するまでもないが3強とは、昨年の全日本選手権優勝者でナショナルポイントランキング1位の井手川直樹(G-Cross HONDA)、そしてジャパンシリーズチャンピオンの安達靖(Team Ikuzawa)、そしてタイトルこそ取れなかったものの、2000年から負け無しの富士見戦を含めたシリーズ2勝を挙げた内嶋亮の3人である。ノータイトルの内嶋が他の2人に劣るのか?いや、そんなことは無い。過去3年間で最多の8勝を挙げているのが、今回インタビューをお届けするこの内嶋亮なのである。今回のインタビューでは、昨年と変わった今年のレース体制について、そして自らが総合プロデュースするDHレース、草津MTBフェスタを含めたレース以外のこと、さらにスポーツ、エキスパートクラスのライダーを対象にした「2007年ジャパンシリーズ・コース攻略法」と言うメニューでお届けする。インタビューは開幕戦まで2週間を切った4月23日、「手羽先が食べたい」と言う内嶋選手のリクエストにより、池袋駅近くの「世界の山ちゃん・池袋南口店」にて行われた。

オウンチームなんですか?

基本的にはオウンチームで、今まで所属していた株式会社ホンダレーシングから委託されている形なんですよ。活動資金と車両を出してもらって、ボクと井手川それぞれチーム名がG-Cross HONDAウチジマとイデガワで一応別々のチームで。今までが完全なワークスだったんですけど、セミ・ワークス的な形で、車両は完全なワークスなんですけど、活動に関して、メカニックだったりチーム体制を自分たちで用意するという形になります。

 

以前のRYO77チームとは違う形なのでしょうか?

 

あの時もオウンチームと言えばオウンチームだったのですが、みんなも知ってる様に、あれは現在のTeam Ikuzawaの先がげと言うか、ボクがライダーで、mattsがメカニックで、そしてアケボノさんがブレーキのサポートに止まらず、もうちょっと踏み込んだところまでバックアップしてくれていると言う形だったんですけれど、今年に関しては会社から出ている契約金の中でメカニックを雇ってと言う感じなので、さらに完全なオウンチームと言う形ですね。

メカニックはキャサリン*がやるって聞きましたが?。注)小金井キャサリンバイクス

まだ決まって無くて。結局パートタイムでいろんな人に。やっぱり年間通じてと言うのはこっちも厳しいし、じゃあやりますって言ってくれる人もなかなかいないし。井手川の方は、去年タダシのメカやってた藤田くんがやるってことで、全戦、たまに練習にも来るって言うことなんですけど、実際そう言う様な人がなかなか見つからないですよね。ただ色んな人から「お手伝いしましょう」的なことは言ってもらってて、開幕に関してはYRSの山本さんにやってもらって。あとキャサリンにも一回か二回くらい来てもらう様な感じで考えてます。

使用機材は去年と変わらないのでしょうか?

ほとんど変わらないのですが、サスペンションがSHOWAになります。これはHONDAから出されるのがフレーム、ミッション、サスペンションで、出されたサスペンションがSHOWAって言う形で、それ以外は自由なんですけども。実際ほとんど変わらないと思います。やっぱり今まで使っていたものでセッティング出していたので。やっぱり変えたくない所ってあるので。

ブレーキはアケボノ?

そうですね。そう言った意味ではアケボノもそうだし、EASTONも東商会さんがスポンサーに着いてくれてて。

ウェアがTroy Leeになりましたね。ちょっと前だと内嶋=Troy Leeみたいなイメージがありました。会社としても嬉しいのでは?

復活です。いつかは戻るつもりではいたので。ずっと「いつ戻ってきてもいいよ」と言われていたので。本国の方のマキさんも喜んでくれて。ヘルメットだけはずっと塗ってもらってるんで。9年目かな?

体制としてはそんな感じですね。でもレース会場に於いては、去年と全くと言っていい程変わりませんね。会社の車が来て、テントがあって、その下にボクと井手川がいて。それぞれのメカニックがいて、まあメカニックはそれぞれ去年とは違うんですけど。監督がいないってことと、去年までの専属メカニックがいないんですけど、見た目は変わらないです。チーム名がちょっと違うだけで井手川とはチームメイトだし。

HONDAに乗るのは、あの白いのから数えて4年目ですが、やっぱり進化とか、変化とかは感じられるのでしょうか?

進化と言うよりは、熟成って言葉が一番しっくり来ますね。もちろん良くなってるのですが、ドカーンととんでもない物が出てきちゃうんじゃなくて、HONDAがもともとあの白い自転車くらいまでに作り上げてきた良いところをそのままに、ちょっと足りなかった部分が肉付けされて、そして熟成されて仕上がってきていると言う気はしますね。やっぱりパッケージングですよね。フレーム、ミッション、サスペンションとトータルで出来てきているので、それが大きいですね。

メリットを感じる?

そうですね。走るのもそうですけど、やっぱりトラブルはすごく少ないですね。ディレーラーが隠れているってことで、ヒットしてとか、あとチェーンジャムとかも一回も無いので。すごく安心して走れますね。

バイクは一年に何台も変えているのでしょうか?

いいえ、レースマシンは基本的に一台です。何処のメーカーでもそうだと思うのですが、フレームってやっぱりまったく同じに作っても、乗っちゃうと馴染んじゃうんですよね。ライダーとしてはあまり変えたくないんですよね。新しいフレームになるとやっぱり硬かったりして。もちろん会社から色んな理由で新しいの乗ってくれと言われればそうなりますよね。ただそう言う場合、それなりの物は出てきます。好みの問題はあるとしても、基本的に性能の落ちる物は絶対に出てこない。研究所の人も乗ってるんで、「試しに乗ってみて」みたいなことは無いです。いろんなことを勉強することが出来ましたね。例えばボルトの締め付けトルクとか、太さとかで全然乗り味が違ってきたり。そう言うのってなかなか感じることって出来ないじゃ無いですか。やっぱり国内ではほとんどが代理店で輸入したものを使って、変えたりすることってあまり無いじゃないですか。そこが本当にメーカーだから、色んな差を感じることが出来て、すごく役に立ちますね。

- 話は、内嶋選手や井手川選手の様に、何に乗っても速い人ではなく、一般ライダーに乗らせてみてどれくらい速くなるのか見てみたい、と言う様な話に。しかし競技の性格上、乗ったからと言っていきなりものすごく速くなることは無いと思うとのこと。ただ、一般的な市販バイクより安定感があり、また卓越した耐久性により、バイクのポテンシャルを維持することが可能であろうと言うことだ。



オフシーズンはトレーニングに忙しかった感じですか?

思った程出来なかったと言うのが正直なところなんですよね。何か軽い怪我をしょっちゅうしていて、ペースが掴めないまま来てしまった感じです。それもあるし、新しいチームって言うことで、その準備もあったりして。

モトクロスによく乗ってますよね?

この時期DHするのって大変じゃないですか。押し上げて乗るって言うのは、走ることへの集中力とか上げて行こうと思うとやっぱりちょっと効率が悪くて。あと冬場はDHのレースコースって開いてないじゃ無いですか。シーズン中に富士見とかのレースコースで走る時って、すごく入り込んで走ったりして。オフシーズンに走れる所ってそう言うわけにはいかないじゃ無いですか。だからその辺の感覚をモトクロスで作るって言う感じですね。もちろん技術的なこともありますけど、半分はメンタル的な所って言うか、集中して走るってところですね。

もう来週開幕ですね?箱館山はどうでしょうか?ずっと安達選手が優勝していますね。

そうですね、最初が2位、次がコケて5位、去年が3位と。別に苦手とは思わないんですけど。安達が得意なんでしょうね。

やっぱりあのコースは前半のコギが重要になりますか?

そうですね、前半、後半*のコギが。でも実はボクはコギは苦手じゃ無いんです。絶対的な体力で言うと井手川、安達には負けてると思うんですけど、ダートのコギってやっぱり違うじゃ無いですか。だからボクもコギのコースだから特に嫌だとは思わないですね。まあ、出来ればない方が良いですけどね、疲れないから(笑)。注)この週末の走り放題にて後半にシングルトラックが新設されたことが判明した。

箱館山はレースウィーク前に走れますよね?

 

そうですね、今週末走り放題で土日走れて。Jシリーズまでの間多分走れるはずなんですよね。ボクも井手川も柴田(幸治)も、あと昨日一緒に練習した青木卓也も、今週末行ってあとずっといようかなって。

今年は海外に行く予定は?

ワールドカップは…行きたいですね。井手川と「カナダ(モンサンタン)行く?」なんて、去年も行ってるんですけど、まあスケジュール次第ですね。色々ちょっとやることが、って言うか。選手以外で、もちろんマウンテンバイクに関わることなんですけど、選手以外にもやり始めてることがあって。まあ何を優先するかなんですけど、第一にやっぱり選手なので…行きたいですね。難しすぎず、簡単すぎず、すごく走り応えのあるコースですよね。

PART2に続く